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今敏の『千年女優』――夢のような特質を伴うある女性の旅程

今敏は、精神的な錯乱もしくは夢のような変造された心的状態を提示する作品、ストーリー、イメージで知られる日本のアニメーション映画監督である。筆者は『千年女優』(2001)を彼の最高傑作と考えるが、この映画は、虚構的な女優の伝記という物語を創り出すため、夢幻的なスタイルのアニメーションとフィルムメーキングとを用いる。同映画で今敏は、20世紀初め以来、およそ100年間にわたって進展してきた、夢の機能とその力学に関する諸理論と発見を具体化する。同作品の夢幻的な性質を精神分析/心理学の諸理論と神経学的な枠組みを用いて探ることにより、女性の旅立ちに関するそのストーリーを、集団的無意識および神話的物語構造、さらにはストーリーテリングを夢状態に至らせる映画的な編集手法との関連において明らかにする。

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