実写映像理解のモデルはアニメーション理解に応用できるか
本論文におけるアニメーションとは、主に物語性をもったアニメーションを対象とする。アニメーション映像をもちいた心理学の研究は行われているが、アニメーションの理解過程について、映像理解の理論をもちいた研究はまだあまり行われていない。そこで本論文では映像という点でアニメーションと共通している実写映像での理解過程の理論である「イベントインデックスモデル」と「イベント分割化理論」についての研究を比較検討した。結論として、イベント分割化理論では、映像や文章を細かなユニットと大まかなユニットで視聴者が分割していることを示している。しかし、これらのユニットの分割はイベントインデックスモデルの場面という概念に包摂されることがわかった。また、イベントインデックスモデルは視聴者の自然な視聴の理解プロセスを対象としている。したがって、本論文では、イベントインデックスモデルを視聴者のアニメーション理解過程の枠組みとして援用することを提案する。アニメーション視聴者の理解プロセスを明らかにすることによって、アニメーション制作現場にも寄与する成果が期待できるだろう。