物語世界上の短絡――アニメーションにおけるメタレプシス(転喩)
この論文が論じるのは、メタプレシス(転喩)という非常に顕著な現象である。メタプレシスは我々が実際に生きる世界では超えることの叶わぬ相互的に排除しあう境界線を、フィクションとパラドックスによって超えていくことである。自分の創作物の物語世界に到達するアニメーターの手や、作り手の世界を逃れたり自らの世界を作り直したりしつつ観客とコミュニケーションをとるキャラクターは、それぞれ異なる種類のメタプレシス的超越である。この現象はアニメーション史を通じて広範囲に起こっているにもかかわらず、これまでアニメーション・スタディーズにおいては理論化されずにいた。この論文は、メタレプシスをトランスメディア的かつナラトロジー的に概念化し、アニメーションの分析的ツールとして持ち込む。そして広範な範囲の例について議論しながら、さまざまな形式のアニメーションに対する枠組みとして機能するか検討していく。