ウィンザー・マッケイ作『恐竜ガーティ』(1914)のメーキングとリメーキング
ウィンザー・マッケイは『夢の国のリトル・ニモ』のような伝説的なコミックスを創造しただけではなく、アニメーション先駆者の一人であった。そして彼の『恐竜ガーティ』(1914)はアメリカ最初の傑作アニメーション映画だった。「ガーティ」には二つのヴァージョンが存在すると知られている。最初のヴァージョンでマッケイは、スクリーン上に投影されるガーティという名前の恐竜のアニメーションと共にヴォードヴィルの舞台上に出演し、後のヴァージョンでは、ウィリアム・フォックスのBox Office Attractions Companyによって撮影、配給された実写のプロローグとエピローグを含んでいた。フォックスのヴァージョンは、原本のナイトレート・プリントとして現存するが、マッケイのヴォードヴィル・ヴァージョンは在り処が不明である。しかしマッケイの334枚の原画を調べると、ヴォードヴィル・ヴァージョンが終わるあたりにフォックス・ヴァージョンに含まれていない「カーテンコール」シークエンスがあったことが分かる。失われたセグメントの元になった15枚の作画のおかげで、デジタル・テクノロジーを取り入れたガーティ・プロジェクトはそれらを再構築することができた。筆者らは、ガーティのヴォードヴィル・ヴァージョンの年代をより正確に定めつつ、マッケイの元来の注釈を解読することで、「スプリット・システム」を含め彼のアニメーション手法を実演した。筆者らは、ガーティのため1万枚の作画をしたというマッケイ自身の主張を検証する。サイレント映画としてのアニメーションにおける一つの節目に関する歴史的分析の結果を通し、ウィンザー・マッケイの芸術的完成度、歴史的真正性に関する様々な争点、アーカイブにおけるデジタル再構築の意味合いが議論される。