学術的アニメーション研究の基盤形成に向けての一試論
日本の大学におけるアニメーション教育の場は、多くがクリエイター養成のための場であり、学術研究の場は未だ整備されていない。この状況下では、後進の研究者を教育し、再生産していくサイクルが形成されない。また学術研究成果の共有による学際的交流、研究コミュニティの構築もできない。既存のジャーナリズムによる研究例は多々ある。しかしアカデミズムにおける学術研究は、ジャーナリズムとは異なり、専門的な議論の本質的な意義をそのまま問うことができる利点を持つ。非クリエイター志望の学生に対する体系的な教育もなされていない。彼あるいは彼女らは、必ずしも研究者志望ではないが、アニメーションに関する関心は高い。その教育のためには、クリエイター養成とは異なる専門家による教育課程が必嬰である。アニメーションの学術的研究が確立するためには、専門的職業人としての「アニメーション研究者」がアカデミズムの中に存在しなくてはならない。