インディペンデント・アニメーション、ロトショップ、実践のコミュニティ――『スキャナー・ダークリー』から見えてくるもの
この論文は、2006年映画『スキャナー・ダークリー』が用いたボブ・サビストンのロトショップというソフトウェアの分析を通じて、アニメーションの実践の特別な一端について考察する。「実践のコミュニティ」および「正統的周辺参加」という概念について論じ、制作における様々なモードという観点からこの映画を文脈化することで、著者は、このプロジェクトで一定の人々が働くことになった過程や方法について追及する。それに加え、『スキャナー・ダークリー』の制作過程の歴史を概略することで、既に受け入れられている制作実践への様々な仮定や予期が、「インディペンデント」および「スタジオ」製アニメーションについてのより広範な理解へと向かうことを論じる。分業と規格化についての問いや、それらが創造性、自律性、そしてアニメーションの制作へといかに関係していくかという問いも提出される。アニメーション史におけるロトショップのポジションは、これらについて問ううえで、興味深いケース・スタディとなるだろう。