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マイブリッジの幻灯

エドワード・マイブリッジは、人間および動物のロコモーションの高速度撮影とその研究に貢献したことで広く知られているが、19世紀末の数十年間は幻灯巡業でも名声を同様に獲得していた。当時、彼は写真家として、自らの映写機ゾープラクシスコープを通して制作されたアニメーションと静止画とを交互に見せる、多属のマルチメディア・ショーで観客に娯楽と教育を提供した。本稿は、マイブリッジの幻灯活動が、時間と時間性はもちろん、視覚と視覚性についての認識論的な変容を取り巻く19世紀の不安にどのように基づいているのかを論証するために、その活動における時間的、物質的側面を調査する。マイブリッジはアニメーションを、静止イメージが動くようにアニメートする動的なプロセスとして看做し、動物たちの不恰好なイメージを人間の自然な視覚領域へもたらすための一時的な対策として扱った。そうするなかで彼は、幻影を通じて真実を培いつつ、観客が、当時浮上しつつあった映画的感受性を前もって整えるための手助けをした。筆者はさらに、写真的指標性の時間的側面を強調することで、マイブリッジの試みは時間のアーカイブ化に等しく、彼にとって幻灯は、物質化された時間を提示すると主張する。かつてスライドによる投影が展示したのは仮想の非物質的なものだが、割れたスライドを調べると、写真的な美がその短命性と脆弱性から浮かび上がってくることが明らかになる。静止と運動との間、物質性と非物質性との間のアニメーション的交替は、映画の出現の中で定着した、時間および視線を取り巻く認識論的な仮定と不安の出現を示すものとして機能する。

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