アニメーション制作に関する日米比較:組織能力のCG技術導入への影響
この論文では、どの種の組織能力が日本およびアメリカのアニメーション・スタジオにおけるコンピュータ・グラフィックの導入に役立つのか、そしてコンテンツの競争力はいかに得られるのかを問うた。2004年から2006年のあいだにかけて6つの日本のアニメーション・スタジオと3つのアメリカのアニメーション・スタジオに聞き取り調査を行い、製造業用にデザインされた調査の枠組みがアニメーション産業にも適用可能であることを発見した。日本のスタジオは、複数の職能をもつ強力なリーダーによって典型化される「擦り合わせ型」の組織的能力を利用する。この種の能力タイプは高度な完全性をもつプロダクトを生み出すのに貢献する。アメリカのスタジオはプランニングおよび製作における全体のプロセスをカバーするデジタル・システムに典型化される「システム支援型」を利用する。この種の能力タイプは世界市場に対して安定的に制作の波を供給するのに貢献する。当議論では、日本のアニメーション・スタジオは3DCG技術を効果的に導入しうるのかを問う。そして、組織的能力と発展的技術の両方をあわせもつための可能性について示唆する。