点運動映像が与える感情効果
本稿は、動いている点の映像を用いた2件の心理学的実験に関する報告である。同実験には、それぞれ21名および74名の大学生が参加した。実験1で我々は点運動によって誘発された感情効果の測定をセマンティック・デイファレンシャル法(SD法)で行った。因子分析の結果から、活動性、価値、生物的印象、以上3因子が明らかになった。分散分析からは、波形、振幅変動、速度がそれぞれの因子に影響することが分かった。生きているものという印象に関して、点運動は点の静止軌跡よりも高く評定された。実験2においては、2種の刺激映像がそれぞれ12の場面で構成され、実験1の点と同種の赤小円・青大円が交互に呈示された。そして被験者は刺激からストーリーを記述することを要求された。自由記述において多くの被験者は2つの点が生きているかのような解釈を示した。記述における差異は、点運動における差異からもたらされた。以上の結果が示しているのは、運動は、「生きていること、もしくは有生性」を含む特別な感情効果を生み出すことである。