少女の形成:アニメーション化された女性身体の体形分析
少女がもつ身体へのイメージにテレビや映画が影響を与えるかどうか、この議論が物議を醸している。研究者たちは映画やテレビが少女の身体イメージに悪影響を与える・部分的にのみ与える・与えないと主張するが、これらの研究には1つの共通した限界がある。すなわちアニメーション化された女性身体に対して、それらの大部分が浅薄なものであるがゆえに、あたかもみんな同じであるかのようにアプローチしているのである。本プロジェクトにおいて、筆者は1989年から2016年にかけてアメリカのアニメーションスタジオで制作された67作品に登場する身体について分析し、それによって既存の学識の拡張と重層化を試みる。この研究では239人の女性キャラクターの体形を4つの類型、砂時計型・洋ナシ型・長方形型・逆三角形型に分類する。論点となるのは次の二つである。(1)過去30年にわたって一つの支配的な体形(砂時計型)からいくつかの体形(とくに洋ナシ型と長方形型)が優勢となるように移行したこと。(2)少女はこれまでの研究ではほとんど無視されてきた、自分と同じ年齢層のキャラクターに影響される可能性があること。筆者が主張するのは、少女は学者が研究する単一のイメージよりもむしろ多様な身体イメージを見ているということである。少女がもつ身体へのイメージはアニメーションの影響を受けるかもしれないが、アニメーションに登場するイメージは非常に多様なので、その影響の特定は難しいだろう。アニメーションがさかんに用いる体形の微妙な違いをもっと理解できれば、研究者は少女が内面化したりしなかったりするさらに複雑なメッセージを研究できるかもしれない。