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不気味な指標――ドキュメンタリーとしてのロトショップ・インタビュー

この論文が考察するのは、ボブ・サビストンが1997年から2007年のあいだに制作したインタビューのアニメーション化と、それらの作品をドキュメンタリーとみなすことが持つ含意についてである。著者は、これらの作品が、リアリティと見せかけ、観察と解釈、現前と不在のあいだの緊張関係と交渉を行なう閾値的・言説的テクストであることを論じる。問題とされる短編作品のテクストを分析していくことで分かるのは、これらの作品の美的な提示は、ドキュメンタリーとしての地位を確かなものとすると同時に、ロトショップの表現主義的な可能性を開拓もしているということだ。ロトショップの本性は、インタビュイーの物理的な身体の不在を強調しつつ、表現的に過剰なアニメーションのスタイルへとそれを置き換えていく。ドキュメンタリーとしての真正さ・証拠、つまり視覚的指標などの慣例的な標識は、これらの作品においては欠如している。これらの欠如は、美学的に閾値的なものとなるアニメーションのスタイルと組み合わせられることにより、喜ばしく複雑ながら認識論的にかつ現象学的に問題を提起する鑑賞体験を作り出すのだ。

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