「あれはどの人種を表象しているのだろう、私とは何か関係があるだろうか?」アニメのキャラクターにおける人種カテゴリーの知覚
アニメのキャラクターがあえて用いる人種表象は、顔の特徴ゆえに識別可能なのか、それとも、あまりに「国際的」すぎて識別不可能なのだろうか? 本研究がこの問いを提出する際の方法論は、1958年から2005年まで制作されたアニメからランダムにセレクトされた341のアニメ・キャラクターの正面からの静止画のポートレイトを人種別にカテゴライズしたものと、それぞれの人種に対する1046人の評価者の知覚の結果を比較する、経験論的なものである。その結果が語るのは、作り手側の意図としてはアニメ・キャラクターの半分以上が人種的にはアジア人であり、白人はほんの少ししかいないのに、白人の評価者はキャラクターたちを白人であると知覚しているということだ。この反応パターンが示すのは「自身の人種の投影 (ORP)」、つまり、知覚者はアニメのキャラクターを自らの人種グループの一員として認知しがちだということである。アニメの国際的な普及における意味合いについても、議論が行われる。