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2018年度研究・教育委員会が推薦する18の文献

研究・教育委員会

推薦文献リストは、研究・教育委員会が信頼の置ける研究者・専門家を選出し、それらの方々に執筆いただいたものである。ただ、そこでは挙げられていないにもかかわらず、アニメーション研究において重要な文献も存在する。このリストは、そのような文献をフォローアップする目的で研究・教育委員会のメンバーが作成を行った。(作成者:萱間隆、須川亜紀子、中垣恒太郎)

ガルブレイス、パトリック『The Moe Manifesto: An Insider's Look at the Worlds of Manga, Anime, and Gaming』(Tuttle、2017)

日本のサブカルチャーに造詣の深い著者による英語圏向けの「萌え文化」概説書。マンガ、アニメ、ゲームの領域を横断しながら現象を捉える手続きが見事であり、最新の情報としてのみならず執筆時点での時代状況を参照する際にも貴重な資料に。(中垣)

ハーヒュース、エリック『Pixar and the Aesthetic Imagination: Animation, Storytelling, and Digital Culture』(University of California Press、2017)

米国でのアニメーション研究は歴史研究などで進展が見られる中でコンピューターアニメーション時代に力点を置く映画研究者による研究書。テクノロジーの変化がどのような変容をもたらしているのか産業構造にも目を向けている。(中垣)

研究・教育委員会

関連リスト

アニメーション作品の視聴がきっかけ・動機となり、その作品の舞台地・モデル地あるいはゆかりの地を訪問する行為、いわゆる「アニメ聖地巡礼」という語は、今やすっかり人口に膾炙した。また、国際的にもファンのみならず研究者の間で、日本における「アニメ聖地巡礼」の動向に注目が集まりつつある。ここでは、アニメ聖地巡礼を構造的に理解するうえで有用と思われる入門書を、ツーリズム研究分野を中心に内外から集めた。

日本のアニメーション産業は複雑で相互に入り組んだシステム・枠組み・ネットワーク・プロセスによる多面的でユニークなシステムである。アニメが世界各地で起こした社会文化的な影響については多くのことが書かれているし、それぞれの作品の主題分析も多く扱われているが、実際のところ、表面的な部分を超えた諸要素をより適切に理解するためには、さらなる議論が必要とされる多くの側面がいまだに残されている。このリストは、アニメ産業の内部の仕組みや特質について光を当て、より完全なイメージを作り上げるための助けになるであろう情報源である。