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日本のアニメーション産業を理解するための10の文献

レナト・リベラ・ルスカ

日本のアニメーション産業は複雑で相互に入り組んだシステム・枠組み・ネットワーク・プロセスによる多面的でユニークなシステムである。アニメが世界各地で起こした社会文化的な影響については多くのことが書かれているし、それぞれの作品の主題分析も多く扱われているが、実際のところ、表面的な部分を超えた諸要素をより適切に理解するためには、さらなる議論が必要とされる多くの側面がいまだに残されている。このリストは、アニメ産業の内部の仕組みや特質について光を当て、より完全なイメージを作り上げるための助けになるであろう情報源である。

Renato Rivera Rusca, “The Changing Role of Manga and Anime Magazines in the Japanese Animation Industry,” Manga Vision: Cultural and Communicative Perspectives, Monash University Publishing, 2016

この章では、アニメ産業の発展に伴い日本で起こった、マンガ雑誌からアニメ雑誌への発展を辿っていく。アニメ雑誌がファン・消費者と出版・製作産業の相互関係がアニメブームの年代(1977-1985年)を通じていかに育まれ発展していくためにいかに本質的な役割を果たしたのかについて、文脈を与え、考察する。

Fred Patten, Watching Anime, Reading Manga: 25 Years of Essays and Reviews, Stonebridge Press, 2004

先駆的な研究者フレッド・パッテンが様々な媒体で書いた記事をまとめたもの。カートゥーン・ファンタジー・オーガニゼーションのようなサークルをはじめとする北米のファンコミュニティの発展という観点を中心として、日本のコンテンツが1970年代から2000年代にかけていかに発展し複数化していったのか、北米の各時代の断面を見せてくれる。

Northrop Davis, Manga and Anime Go to Hollywood, Bloomsbury Academic, 2015

アニメ・ビジネスにおいて重要性を増している側面は、グローバルな拡大と国際的なマーケットへのフォーカスである。ハリウッドにおける日本のポピュラー・コンテンツについてビジネス中心で取り上げるこの本は、ハリウッドの脚本家と長年業界に関わるインサイダーによって専門的にまとめられたものである。

伴俊男『手塚治虫物語』(朝日新聞社、1992年)

『鉄腕アトム』の作者であり、マンガの革命児、テレビアニメの先駆者でもある手塚治虫の人生が、自叙伝的マンガの形式で語られる。この本は、日本のマンガおよびアニメ産業におけるおそらく最も重要な人物についての決定的な情報源である。

Marco Pellitteri, The Dragon and the Dazzle: Models, Strategies, and Identities of Japanese Imagination—A European Perspective, Tunue, 2010

「世界での日本のポップカルチャー」をめぐる議論における英語使用者たちの地域において明らかに存在する偏見を軽減する試みに成功している。ヨーロッパ地域本土におけるマンガとアニメの遍在は、輸出、ローカライゼーション、共同製作等々の深く複雑な物語を語り、日本のコンテンツの真のグローバル化についての完全なる絵を描く。

レナト・リベラ・ルスカ

スコットランドのスターリング大学日本学部を卒業。大阪大学、京都大学で日本の大衆文化を研究。京都精華大学では、マンガ学部の講義を担当し、学部の設立以来、京都国際マンガミュージアムを含む数多くのプロジェクトに参加。2010年から2016年まで明治大学クール・ジャパン・サマー・プログラムのコーディネートを担当していた。現在は明治大学、横浜国立大学、早稲田大学、専修大学で講師を務め、マンガ文化論、アニメーション文化論、比較サブカルチャー研究、国際事情などを担当している。また、株式会社アニメ・コンソーシウムのライターとしても活躍中(www.anime-now.com)。

関連リスト

これは、日本におけるファン世界に関する議論に貢献する10冊の英語版書籍のリストである。このリストには研究論文や編纂された論文集も含まれる。そのうちほとんどは、人物について、また人物とメディアや資料とのかかわり、または日本でのファン世界の社会的側面に焦点を当てている。そのうち何冊かは日本を飛び越え、世界の中の日本のメディアと資料に関わるファンの行動を研究している。将来的には、これらの文献は、ファン世界に関する日本語版書籍および研究分野としてのファン研究とのより明示的で持続的な対話をもたらし、言語、学問、分野などの境界を越える可能性がある。

推薦文献リストは、研究・教育委員会が信頼の置ける研究者・専門家を選出し、それらの方々に執筆いただいたものである。ただ、そこでは挙げられていないにもかかわらず、アニメーション研究において重要な文献も存在する。このリストは、そのような文献をフォローアップする目的で研究・教育委員会のメンバーが作成を行った。(作成者:萱間隆、須川亜紀子、中垣恒太郎)