Donald Crafton, Shadow of a Mouse: Performance, Belief, and World-Making in Animation, University of California Press, 2012.
手書きアニメーションにおけるキャラクターの演技論。スクリーン越しに存在するはずの2次元キャラクターとファンとの関係性が理解できる。
Donald Crafton, Before Mickey: The Animated Film 1989-1928, University of Chicago Press, 1993
欧米を中心に初期アニメーションの傾向、漫画との関係、技術的発明、産業化を社会文化的なコンテクストの中で理解できる。
Simon During, Modern Enchantments: The Cultural Power of Secular Magic, Harvard University Press, 2002
幻灯、写真、アニメーション、映画など視覚装置を近代のマジックと捉える本書の議論から、「生命を吹き込む」言説はアニメーションに限られたものではなかったことが分かってくる。
Peter Hames (ed.), Dark Alchemy: The Film of Jan Svankmajer, Praeger, 1995
本書のヤン・シュヴァンクマイエルに関する論文や監督本人へのインタビューは、作家論を超え、アニメーションにおける物質、触覚、手の所作の美学的議論へつながる。中でもマイケル・オプレイの論文は特にお勧め。
Patrick Harpur, A Complete Guide to the Soul, Rider, 2010
アニメーションの語源としてよく取り上げられる「アニマ」の複雑な意味合いを、その歴史的・理論的変遷を踏まえながら総括する、書名通り「魂への完全ガイド」の書。
Thomas Lamarre, The Anime Machine: A Media Theory of Animation, University of Minnesota Press, 2009
日本のアニメを中心に展開するアニメーション装置論。テクノロジーとイデオロギーの関係を固定したものと看做す従来の装置論を乗り越えるため著者がドゥルーズ&ガタリから転用する機械の概念がキーポイント。和訳版あり。
Esther Leslie, Hollywood Flatlands: Animation, Critical Theory and the Avant-Garde, Verso, 2002
抽象からディズニーに至るまで幅広いアニメーションについての美学を、フランクフルト学派の理論を用いて論じる本。ディズニーをリーフェンシュタールやエイゼンシュテインと関連付けながら展開する議論は興味深い。
Lev Manovich, The Language of New Media, The MIT Press, 2001
デジタル時代に映画はアニメーションに戻る、映画-目は映画-筆に交替される、といった趣旨の本書は、メディアとしてのアニメーションを再検討するに有効。特に第6章「映画とは何か?」はお勧め。和訳版あり(レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語 デジタル時代のアート、デザイン、映画』(みすず書房、2013年))。
大塚英志『アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題』(徳間書店、2003年)
本書は、手塚治虫を中心に日本のマンガ・アニメを近代史の文脈の中に捉え直し、「死なないキャラクター」から「死んでいく」「けがする」「性をもつ」キャラクターへの変遷という問題を提出、議論する。
Suzanne Buchan, The Quay Brothers: Into a Metaphysical Playroom, University of Minnesota Press, 2011
ブラザーズ・クェイのアニメーションのミステリーに迫る本書は、著者自身が監督二人との長年に渡る交流から得られた資料に基づき、その作品の文学的起源、空間設計、人形、モンタージュ、音響と音楽を徹底議論する。
Suzanne Buchan(ed.), Pervasive Animation (AFI Film Readers), Routledge, 2013
アニメーションを、作品というより文化的現象と捉え、その臨界点にフォーカスを当てる本書では、アニメーションにかかわる機械装置、物質性、生命哲学、リアリズム、実作や教育問題などが議論される。
アニメーション映像の先駆者ウィンザー・マッケイの漫画を中心に、人間のアニメーターと、アニメートされる対象とのダイナミックな関係を、バシュラール哲学などを参照しながら幅広く議論する本。