ニューメディアの言語
本書では、Lev Manovichがニューメディアの初の系統的で厳密な理論を提案している。彼は、過去数世紀のビジュアルおよびメディアカルチャーの歴史の中にニューメディアを位置づけている。彼はレクタンギュラーフレームやモバイルカメラといった新たなメディアの昔のメディアの慣習に対する依存について検討し、ニューメディアによる作品がいかにして現実のイリュージョンを生み出し、ビューアに対応し、空間を表現しているかという点を明らかにする。また、インターフェースやデータベースといったニューメディアに独特のカテゴリーとフォームについても分析している。
Manovichは映画論、芸術史、文学論、コンピュータサイエンスのコンセプトを利用し、文化的インターフェース、空間モンタージュ、シネマトグラフィなどの新たな理論上のコンストラクトも考案している。映画の理論と歴史は、本書において特に重要な役割を担っている。その他のテーマとして、Manovichは、映画やニューメディアの歴史にみる類似点や、デジタル映画、映画やニューメディアのスクリーンやモンタージュ、前衛的映画とニューメディア間の歴史的な関係などについても論じている。
この論文が含まれるリスト
デジタル時代に映画はアニメーションに戻る、映画-目は映画-筆に交替される、といった趣旨の本書は、メディアとしてのアニメーションを再検討するに有効。特に第6章「映画とは何か?」はお勧め。和訳版あり(レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語 デジタル時代のアート、デザイン、映画』(みすず書房、2013年))。