漫画映画論
映画評論家・今村太平による漫画映画、すなわちアニメーションの評論。アニメーションと日本の伝統芸術との比較を試みている。戦後も幾度となく復刻され、近刊では2005年に徳間書店から刊行されている。
いわずとしれた名著。映画音楽に対する関心から漫画映画に向かった今村は、どの評論家とも異なる独自な視点でアニメーションを論じた。第一評論集の『映画芸術の形式』も重要である。
映画評論家・今村太平による漫画映画、すなわちアニメーションの評論。アニメーションと日本の伝統芸術との比較を試みている。戦後も幾度となく復刻され、近刊では2005年に徳間書店から刊行されている。
いわずとしれた名著。映画音楽に対する関心から漫画映画に向かった今村は、どの評論家とも異なる独自な視点でアニメーションを論じた。第一評論集の『映画芸術の形式』も重要である。
戦前は今村太平の『漫画映画論』が唯一のアニメーションの文献だったが、最近は読むべき文献も増えた。資料的よりも筆者が時に興味深く読んだ文献を推薦させてもらった。選んだ10冊のほかにもL.マルティンの『マウス・アンド・マジック(上下)』や森卓也の『定本アニメーションのギャグ世界』なども忘れられない文献だった。筆者と共著の『日本アニメーション映画史』を自薦するのはおこがましいが、アメリカ議会図書館が同書を購入してくれたのは誇り。
最近ではインターネットで戦前から戦中にかけてのアニメーションを見られるようになっており、アニメーション史を研究しやすい環境になりつつある。それでもまだ、1917年に国産アニメーションが始まり、1956年に東映動画が設立されるまでの数十年間に関しては、十分な研究がされているとは言い難い。このリストでは東映動画設立以前の時代に注目し、制作者の自伝や評伝、さらに作品を理解する手がかりとなる書籍を取り上げる。
拙著『日本のアニメーションはいかにして成立したのか』は、日本で初めて外国のアニメーションが上映された明治時代からほぼ100年間を射程に置いている。わたしは、周辺的、境界的な位置にあるアニメーションに焦点を当て、日本でアニメーションの概念がどのように確立し、発展したのかを検証している。恣意的であるが、ここでは拙著に合わせて、日本のアニメーション史を考えるうえで参考になると思う本をあげてみたい。
日本で初めて出版されたアニメの文献として資料性価値は高い。映画ファンの今村は東京に出来たニュース映画専門館に通い、ディズニー短編アニメやフライシャーのアニメを分析評価。最初にアニメに注目した功績は大。