アニメーション入門
アニメーションの世界を俯瞰するものとして期を画する書の一つ。系譜(通史)の記述が中心となるが、前章に定義と分類等を配し類書の定形を成している。世界に眼を広げる際の一種の“海図”としての役割を果たした。
森は、日本で最初のアニメーション評論家と呼ぶことができる人物である。アニメーションとはなにかを問いかけた評論家であり、1960年代の日本にアニメーションの概念が定着するうえで大きく貢献した。
アニメーションの世界を俯瞰するものとして期を画する書の一つ。系譜(通史)の記述が中心となるが、前章に定義と分類等を配し類書の定形を成している。世界に眼を広げる際の一種の“海図”としての役割を果たした。
森は、日本で最初のアニメーション評論家と呼ぶことができる人物である。アニメーションとはなにかを問いかけた評論家であり、1960年代の日本にアニメーションの概念が定着するうえで大きく貢献した。
戦前は今村太平の『漫画映画論』が唯一のアニメーションの文献だったが、最近は読むべき文献も増えた。資料的よりも筆者が時に興味深く読んだ文献を推薦させてもらった。選んだ10冊のほかにもL.マルティンの『マウス・アンド・マジック(上下)』や森卓也の『定本アニメーションのギャグ世界』なども忘れられない文献だった。筆者と共著の『日本アニメーション映画史』を自薦するのはおこがましいが、アメリカ議会図書館が同書を購入してくれたのは誇り。
当初「日本のアニメーション学を形成してきた10の文献」を考えたが、1980年代初めに至る黎明期に参照された文献と改めた。(1)1960年代前半迄の訳書を含む当時“古典的”位置付けのもの、(2)アニメーションプロパーが基本図書とし伝説的なF&FFなど同人の流れにあるもの、(3)実験映画・実験アニメーション、創作関連、(4)映画史・アニメーション史関連、(5)基盤の一つ映画学・映像学の文献の5グループ(+xは書名のみ)。
拙著『日本のアニメーションはいかにして成立したのか』は、日本で初めて外国のアニメーションが上映された明治時代からほぼ100年間を射程に置いている。わたしは、周辺的、境界的な位置にあるアニメーションに焦点を当て、日本でアニメーションの概念がどのように確立し、発展したのかを検証している。恣意的であるが、ここでは拙著に合わせて、日本のアニメーション史を考えるうえで参考になると思う本をあげてみたい。
アニメ・映画評論家の森が1962年9月号~’63年10月号まで『映画評論』誌に連載した「動画映画(アニメーション)の系譜」の総集編だが、白眉と言えるディズニー・アニメ論がディズニー側の検閲で全面カットされたのが惜しまれる。