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ディズニーのアリス・コメディ——イリュージョンの生命と生命のイリュージョン

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』(1865)と『鏡の国のアリス』(1871)は様々なディズニーのテクストに影響を与えている。そのなかには、同スタジオが1923年から27年に製作したアリス・コメディ(ディズニー・スタジオが世に出ることになった中核的な作品でもある)も含まれる。この初期シリーズは、ディズニーの映画様式の発展、つまりハイブリッド・アニメーションの様式を形成するのに大きく役立った。そのハイブリッド性の形成は、スタジオの全歴史を通じた大きな影響を及ぼすことになる。スタイル上は粗野なままでありつつも、リアルなものと幻想的なもののあいだの関係性の交渉を行なっていくスタジオの努力——後に「生命のイリュージョン」として知られることになったスタジオ独自のスタイル――を予見するものでもあった。この論文が探るのは、ハイブリッドなスタイル――たとえば、実写とアニメーションの組み合わせ――への強調という観点から、基礎的なテクストであるアリス・コメディの分析を行なう。それは、リアリスティックな空間を生み出すという問題へと目覚めることを必要としたと同時に、観客をファンタジーの空間に引き込むという点で、ルイス・キャロルが「アリス」シリーズで行った境界侵犯的な探求と同様のものであるともいえる。

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