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乾孝が制作した1930年代の人形アニメーションの発見と評価

心理学者で元法政大学教授の乾孝(1911-1994)は子供の芸術教育の分野で多くの業績を残したが、法政大学入学直後の1930年代、9.5mmフィルムのパテ・ベビーを用いて人形アニメーションを制作していた。この論文の著者のひとり吉村浩一は、乾孝の家族からそれらの作品の存在を教えられた。本論文では、日本アニメーション史初期におけるそれらの作品の価値について考察する。
これまで、第二次世界大戦以前の人形アニメーション作家としては、アマチュアの荻野茂二だけが知られてきたが、乾の作品の発見は、日本における人形アニメーションの初期の達成に重要な光を投げかけるものである。オリジナルのフィルムプリントの存在する可能性はありつつも、我々が発見できたのは、1980年代、乾孝本人がナレーションを付けたうえでオリジナルフィルムから再撮影されたVHSテープのみである。二本のタイトルが確認されている。1931年に作られたと思われる『鏡』と、1932年の『人魚と人間』で、共にH.C. アンデルセン原作の物語を原作としている。乾は作品のために人形を手作りし、さらには、切り絵による影絵アニメーションや、砂アニメーション、そして二重露光といった革新的な技術を用いている。乾はラディスラフ・スタレヴィッチによる人形アニメーション『魔法の時計』、そして数冊の技術本への言及を行ってもいる。乾の作品は、日本アニメーションの歴史的観点からみて、高く評価されるべきものであると結論づけられる。

  • タイトル(英語)
The finding and evaluation of Takashi Inui's two puppet animations filmed in the 1930s
  • 発表年
2006年
  • 著者
  • 掲載誌
アニメーション研究
  • 掲載誌巻号
7(1)
  • 掲載誌ページ
3-15
  • 掲載誌ウェブページ
https://www.jsas.net/index_JJAS.html
  • キーワード

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