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定量化と代替――ヴァーチャル・シネマトグラフィの抽象空間

空間に価値を与え交換経済へと進入させるために、資本主義は空間を抽象的な計画に還元させる方向に働く。アンリ・ルフェーヴルは、そのプロセスに関して執筆する際に、「抽象空間」という用語を提案し、同空間における論理を詳細に記述する。その論理は、ヴァーチャル・シネマトグラフィにおいてデジタルアニメーションで創出された空間、例えば『マトリックス リローデッド』(アンディ&ラリー・ウォシャウスキー、2003)で用いられた空間でも働く。ヴァーチャル・シネマトグラフィは、総体化された予見可能な空間を創りだし、俳優の代わりに非常に道具的な、なおかつ、管理可能なデジタルの代替物(時にはシンセスピアンとして知られている)をその空間に生息させつつ、幾何学的な抽象化に開かれているものとして、空間と個人を捉える。ヴァーチャルな空間の創出を解釈するためルフェーヴルの研究を用いることによって、今後のコンピュータアニメーションのモチーフと結果とを批判的に評価することが可能になり、ヴァーチャル・シネマトグラフィが、空間を再現し定量化する他の視覚システムと連携する方法が浮き彫りになるのである。

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