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豚が空を飛ぶ時――アニメ、作家主義、そして宮崎の『紅の豚』

本稿は、もっとも重要なアニメ作家の一人である宮崎駿の作品の中で、比較的知られていないものを分析しつつ、「アニメ」として知られている日本アニメーションの形式に対する西洋の観点を扱う。トーマス・ラマールがアニメの「関係的」理解として言及しているものの構築を目指しつつ、映画学における作家理論上の諸概念のレンズを通して、なおかつ、アニメーションというメディアムとの関連の中で、宮崎の映画『紅の豚』を扱う。ビジュアル面へのアプローチからさらに深いテーマに至る側面において、宮崎の作品は、「創造的な伝統主義」と言いうるような一群の独特な戦略に依存していることが分かる。『紅の豚』をケース・スタディーとすることで、アニメはポストモダンのポピュラー・カルチャーの一形式として、西洋においてより適切に理解されるのは、形式、メディアム、文化的コンテクスト、個人クリエーターに関する諸問題のバランスを取る様々なアプローチの三角測量的な方法論を通してこそ可能だとことを幅広く議論したいものである。

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