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影のスタッフ――東宝航空教育資料製作所(1939-1945)のアニメーターたち

これまで日本のアニメーション史の研究者たちは第2次世界大戦中に作られたプロパガンダの漫画映画に注意を払ってきたが、その時期、軍事訓練用のアニメーションはその2倍も製作された可能性がある。現在のところ、所在が分からないそれらの映画は、東宝航空教育資料製作所に配置換えされた一群のアニメーターによって作られた。時には5~6リールの長さ(およそ48分)、そして8リールという長編規模のケースも一つあったが、それらの作品は、1930年代の1〜2リールの短編と、『桃太郎 海の神兵』(1945)という日本初の長編アニメーションとの間のミッシングリンクである。その内容は、真珠湾を爆撃する予定のパイロットのための戦術上の要領、敵艦を即座に見分ける方法、航空母艦の乗組員のための戦闘プロトコルの案内などを含んでいた。本稿は、現在利用可能な資料から、その「陰のスタッフ」の実態と成果を再構築し、彼らが日本アニメーション産業のナラティブから排除されたこと(と、そのナラティブへ取り戻すこと)を考察する。

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