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全体論的な有生性(アニマシー)に向けて――東アジアの思想を反映するデジタルアニメーション現象

2009年発表された論文で、筆者は、アニメーションがコンピュータテクノロジーと組み合わせられたとき、人間にとって有意味となる様々なレベルの生気を保った運動をいかに作り上げるかを提示した。本稿はそれを受け、知覚心理学・認知心理学の洞察に拠りつつ、デジタルアニメーションによる諸現象を分類するため、生気に関する新しい類型論を提案する。同分類は、道教と神道の中核的な思想を含め、東アジアの伝統におけるホリスティックな思考を反映しつつ、デジタルで仲介される今日の環境における生気の均衡と広がりを強調する。日本のアニメーション映画『攻殻機動隊』(押井守、1995)の中のモンタージュシークエンス、上海万博で展示された中国画『清明上河図』のアニメーション版、日本の携帯ゲーム機用に発表されたビデオゲームである『エレクトロプランクトン』など、現代の東アジアで制作されたアニメーションからの事例分析を用いつつ、筆者は、今日のデジタルアニメーション現象がアニメーターやコンピュータ、さらには観客/ユーザーまでも統合し組み込むと主張する。それは、生命の幻影を追求するということにおいて、人間‐機械の関係に対する思考を刺激するのだ。

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