アニメーションの本を書くということ――『『話の話』の話 アニメーターの旅』と『ブリティッシュ・アニメーション チャンネル4ファクター』(学会主催講演録)
本稿は、2012年11月15日、東京・渋谷の桑沢デザイン研究所にて開催された、クレア・キッソン氏の講演会の講演原稿を翻訳のうえ採録したものである。この講演会は、東京重芸術大学大学院映像研究科の招聴で来日したキッソン氏に時間を割いて頂き、訳者(土居伸彰)のコーディネートのもと、日本アニメーション学会主催、東京造形大学共催で開催された。キッソン氏は、先鋭的なアニメーション表現によって世界的に有名なイギリスのチャンネル4で長年アニメーション製作の現場に関わり、退職後はアニメーションに関する著作を出版するなど研究者としての業績も多い。本講演は、キッソン氏が二冊の著作の出版に至る経緯やその際に直面した困難、本自体の意義について語って頂いたものである。講演では、出版社採しなど、本を書いた「後」の問題についても触れられるなど、大きなトピックをカバーする有益なものとなった。なお、氏が直面した、「学術的研究者であること」と「在野の研究者であること」の聞に位置することの葛藤は、アニメーション・スタディーズの受容・勃興期にある日本の同様の現状においても示唆の大きいものであるといえよう。なお、今回の講演会は、東京萎術大学大学院映像研究科の皆様、特に山村浩二教授のサポートなくしては成立しなかった。改めて御礼申し上げたい。(抄録作成:土居伸彰)