漫画の展望: UPA、プレシジョニズムとアメリカのモダニズム
戦後、アニメーションスタジオであるユナイテッド・プロダクションズ・オブ・アメリカ(UPA)はモダンアートの感性をアメリカの漫画業界にもたらしたこと、簡潔で、1950年代と1960年代を通してスタジオアニメーションの様相を変えた抽象的なスタイルで高い評価を得ている。本稿では、UPAの特徴的なスタイルをとプレシジョニズムのスタイルと一緒に検討する。プレシジョニズムとは1920年代にアメリカで流行した絵画のスタイルでこれまでにあまり考察されていない。その際、UPAとモダンアート、広義ではモダニズムとの関係について我々の理解を複雑にする。プレシジョニズムは、可視できる世界を減らして半抽象的な形にすることで混沌としたモダンアートの環境に秩序をもたらすと考えられた。半抽象的な形では、都会的な風景や工業的な風景が幾何学的図形や鋭い線、ソリッドカラーで作り上げられている–これは、UPAのスタイルを正確に表す特徴である。戦時訓練映画としてのその始まりを背景とするアニメーションスタジオの漫画の分析および芸術家の手記の分析を通して、本稿はUPAを、プレシジョニズムのビジュアルスタイルの駆動力となる特別なモダニストのエネルギーの回復として位置付けている。それは、理論的には、現代の生活を感覚的に圧倒することができる視覚の新しい様式を開発しようとする試みと連動していた。従ってそれは、文化的な現象として20世紀半ばのモダニズムを、また10年に及ぶ最新のモダニズム実験における戦後のアニメ―ションの位置付けを明確に理解させて、アメリカの文化の歴史におけるこれらの2つの時期の間に線引きをする。