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「絵ごとに、動きごとに」――メルボルン=クーパーとシリャーエフ、そして象徴的身体

本稿は、イギリス人のアーサー・メルボルン=クーパーとロシア人のアレクサンダー・シリャーエフの先駆的な初期立体ストップモーション・アニメーションを、19世紀末近代性に関する言説内に位置づけることを目指している。本議論は、近代都市と初期映画との両方の発展に関する支配的な言説、そして特に、モダニズム的な実践を仲介する役割を有しているものとして平面の「カートゥーン」を受け入れてきた様々な方法に取り巻かれ、これらの作品の意味が見失われてきたと同時に、立体の形式はあまり調べられないまま、映画的もしくは文化的実践における他の側面の内部に吸収されてきたことを示唆する。筆者は、メルボルン=クーパーとシリャーエフが「象徴的身体」に焦点をあてながら、実写によるフォトリアリズム的な観察と、初期のドローイング形式のグラフィックな自由との間における仲介として、自覚的に立体アニメーションを使うと主張する。それは初期映画における「アトラクション」の諸概念を改訂しつつ、都市-空間を再定義し、なおかつ近代的なモーションがもつ意味を記録している。

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