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可塑性再考——アニメーション・イメージの政治学と制作

アニメーションについての著作は、イメージの可塑的な質――対象は伸縮し形態を変えていく――にしばしば言及するが、アニメーションの可塑性をめぐる議論は、完成した映像と可塑性とを結びつけて考えがちだ。本稿は、アニメーションの可塑性についての再考を行うことで、それが単に完成した映像の属性であるのみならず、制作における物質的条件の一側面でもあることを示唆する。1940年代・50年代の日本においてディズニー・アニメーションについての記述を残した今村太平と花田清輝という二人の左翼知識人の著作を紹介し、その著作をヨーロッパにおいて対応するもの対比させつつ、この論文は、これら日本人思想家たちが、ディズニー・アニメーションの制作現場におけるフォーディズムの重要性に注意を引こうとしていることを示唆する。今村と花田の著作は、アニメーションの可塑性を論じる際、フォーディズムによる映像制作の物質的条件の観点から可塑性を批判的に再考することを可能にする。そのことは、労働のレベルはもとよりアニメーションというメディアムのレベルにおける可塑性についても考察させてくれるのである。

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