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コードが衝突する場所――『アバター』の創発的な生態学

生態学的なアプローチは、『アバター』の物語世界に一つの洞察力を提供する。そのアプローチは本稿において、同長編映画とその関連テクスト(制作現場の開示、メーキングの特典映像、インタビュー)との関連性の探究のために拡張される。グレゴリー・ベイトソン、フェリックス・ガタリ、ジェーン・ベネットの生態学的思想に拠りつつ、本稿は「アバター」およびその関連テクストが、創発的空間に関する一種の生態学として考えられると主張する。このような空間の物質性は、その編成に関わるアニメーション・ソフトウエア、モーションキャプチャ・テクノロジー、俳優、デザイナー、監督など様々な実在物から見出される。以上の主張は、主に『アバター』におけるCGイメージの生態学に関する我々の理解を、リアルタイムのモーションキャプチャ・テクノロジーがどのように変容させるかという議論を通して進められる。同映画におけるイメージのリアリズム、もしくはそれらの内側にある人間的なものの痕跡のみにフォーカスを当て続けると、創発的空間がどのようにコードの交差点に出現するかを見失うことになってしまうのだ。

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