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ポーラー・エクスプレス全員乗車――CGブロックバスターにおける語りかけ方の「楽しい」変化

本稿は、映画史における変化は、観客への関与における変化を含意するというトム・ガニングの主張に従って、フルCGによるブロックバスター映画を観る今日の観客にとってどのような類の変化が懸案となっているのか問う。そのために、『ポーラー・エクスプレス』(ロバート・ゼメキス、2004)を詳細に分析する。また、同映画における、ビデオゲームのような没入型の視覚的美学と語りかけ方が、サイバースペースという「不可視」のヴァーチャル領域およびCG映画の両方に共通してみられるデジタル空間やキャラクターと観客との関係をどれ程度まで自然化しようとするのかについて考察する。最終的に本稿は、『ポーラー・エクスプレス』という映画が、美学、キャラクター構築、物語の見地から、映画とビデオゲームとが最も強い絡み合いをみせた時代の切実な歴史的記録として働くことを主張する。同時に、かつて映画がビデオゲームに与えた類の形成的影響を、現在、ビデオゲームが映画に与えはじめているのではないかという切迫した問いを提起する。

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