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『火垂るの墓』における地域表象

本稿は、高畑勲のアニメーション作品『火垂るの墓』について、具体的な地域表象を検討するとともに、関係地を訪問する行動について、その意味づけを考察するものである。『火垂るの墓』は、強く情動を喚起する作品である。一例として、主人公兄妹の母親の死の舞台となる学校のシークエンスをとりあげる。画面内の事物の配置を現実の地理空間に置くと、あるべき鉄道の高架が画面に現れていない。この不在は、兄妹の孤立感を強調している。また、本作品の関係地訪問の事例を検討すると、アニメ聖地巡礼としてではなく、戦跡など事実に基づく土地への観光であるダークツーリズムに類するといえる。虚構作品の関係地は現実と必ずしも対応するものではなく、また作品が喚起する情動の側面も無視できない。これらについては、さらなる考察が必要である。

  • タイトル(英語)
Representation of Locations in Grave of the Fireflies
  • 発表年
2020年
  • 著者
  • 掲載誌
アニメーション研究
  • 掲載誌巻号
21(1)
  • 掲載誌ページ
45-50
  • 掲載誌ウェブページ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjas/21/1/21_45/_article/-char/ja
  • DOI
10.34370/jjas.21.1_45
  • キーワード

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