『じゃりン子チエ(劇場版)』に見る高畑勲の映画構築術
この論文は高畑勲によるアニメーション映画「じゃりン子チエ」を分析した。原作は大衆に人気があり、広く知られる漫画である。高畑は作家性を抑制し、原作に忠実であろうと努力した。その結果、論じられる機会の乏しい作品となっている。しかし、漫画と映画は、表現の点で大きく異なっている。そのギャップを埋めるための高畑の方法を、具体的な映像に基づいて検証した。映画では時間と空間に関する意識が重要である。高畑勲が映画をどのようなものと把握し、構築しようとしていたか、その一端を検証考察する試みだ。