パワーパフのポリティクス政治学 ——「ガール」を「ガールパワー」へと置き換える
この論文が考察するのは『パワーパフガールズ』の政治学である。このシリーズの三人のスーパーパワー・ヒロインを1990年代に人気のあった「ガールパワー」言説の内部に位置付けつつ、エンパワーされた若い女性性のイメージを提示する。子供が大人に勝利するという物語上の前提は、子供向けテレビにおける先例にも共通する世代論的な政治学とも関わっているが、一方で、このガールパワー・シリーズの政治学が持つ限界を考えると、番組の主役である白人中流階級のへテロセクシャルな少女表象の外部にある、ある種のアイデンティティの形成に対する周縁化と中傷をも明らかになっていく。