『ミッキーの大演奏会』における線と色彩
この論文が提出するのは、テクニカラーによる7分のミッキーマウス・カートゥーン『ミッキーの大演奏会』(1935)の制作で使われたテクニックと素材である。アニメーションの産業化とドローイングの技術の歴史の変遷において、ドローイングや線が平準化規格化されていくさまを調査したのち、色の利用、とりわけ、セルに用いられていたインクと当時のフィルム・プリントに用いられた染料とのあいだの関係について記述する。著者が問うことになるのは、あるテクニックがもつ美学的、倫理的、政治的意味についての唯物論的理論を、テクニックとテクノロジーそのものに対する眼差しを失わないままに明確化することが可能かどうかということである。