広島の原爆投下を語る戦争アニメにおける変化
本稿は、日本国民の第二次世界大戦についての集合的記憶における広島への原爆投下の役割から出発し、原爆投下を扱った「戦争アニメ」を取り上げる。
戦争アニメのナラティブの方向を確認するために用意した分析モデルを利用し、主な論点は作品の時空間的な舞台によるのフレーミングに起きた変化である。さらに、各作品のそれ以外の特徴も簡潔に考察する。後者の特徴には例えば各作品の間に起きた「主人公」のキャラクターの変化と物語の中に起きる主人公の成長といった点が含まれている。
また、有名ではない作品が広島への原爆投下のメディア的なイメージに与えた影響に対しての学術的な観察の欠如を本稿では批判的に焦点を当てる。
最終的には、対象作品の特徴の社会的な背景も触れながら論じる。