ヨーロッパにおけるハイブリッド・アニメーション
2000年代のヨーロッパにおいて長編アニメーション映画は大人層の心をつかんだ。それはアニメーションにシリアスなテーマ、いわゆる社会的トピックスという新しい傾向をもたらすことになった。さらにメディアや技法の新しさが加わり、「ハイブリッド・アニメーション」という大人向け映画が増えつつある。私は2012年に日本で「はちみつ色のユン」を公開した。本作は、アニメーション+実写、そして国際養子という、技法およテーマにおけるハイブリッド性を備えている。配給者の視点から、フランスの商業アニメーションとスウェーデンのインディペンデント短編アニメーションを例示しながら、ヨーロッパのハイブリッド・アニメーション動向を紹介する。ここで紹介する傾向は、「アニメーション・ドキュメンタリー」より広い視座として「ハイブリッド・アニメーション」と捉えると、2000年代の変化を整理しやすく、ハイブリッド化がアニメーション外にいた作り手側の要望や期待など、多方面から起こっていることが分かる。ハイブリッド・アニメーションはアニメーション分析の一助となるのではないだろうか。