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Puppets in a Vignette: Edwin S. Porter's Animation Work

「物語映画の父」と称されるエドウイン・ストラトン・ポーターの『テデイ=ベア』(1907年)には、ストップモーション・アニメーション技去によって抽出されたワン・ショットが含まれている。テデイ・ベア人形がアクロパットを繰り広げるこのショットは、トム・ガニングらが提唱する「アトラクションの映画」、すなわち「見世物」としての純粋な視覚的快楽を発動させる初期映画の属性を表明している。その「アトラクシヨン」性を誘引するものとして、(1)ナラティヴの中断もしくは弛緩、(2)画面に施された「ヴィネット・マスク」、すなわち「枠組み」効果、そして、この二つの要因と有機的に絡み合い、統括するものとして、(3)ストップモーション・アニメーションという表現方法によって得られた美的表現機能の3要因が想定される。造形物=人形が、木目模様が施されたヴィネットで閉じられた「造形的空間」で、止められた一瞬一瞬を積み重ねて動きを生成するアニメーション技法で還元的に組成された、説話的流れとは相容れない「造形的時間」を醸し出す。この重層的「造形」構造によって醸し出された視覚的表象性、すなわち「アトラクションの映画」を規定する「タブロー」としての表現機能が「映画史におけるポーターの暖昧なポジション」(ノエル・バーチ)を最も先鋭的な形で露呈させているのである。

  • タイトル(英語)
Puppets in a Vignette: Edwin S. Porter's Animation Work
  • 発表年
2007年
  • 著者
  • 掲載誌
アニメーション研究
  • 掲載誌巻号
8(1)
  • 掲載誌ページ
3-8
  • 掲載誌ウェブページ
https://www.jsas.net/index_JJAS.html
  • キーワード

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