生態心理学的アプローチによるヒトの歩行、走行運動を特定する性質――バイオメカニクスとセルアニメーションの作成方法を参照して
人間は、自らを取り巻く対象や、環境の中で発生する事象を知覚する。それらの自然事象は、自然科学の領域においては記述が行われる反面、セルアニメーションにおいてはいわゆる表象として創造される。本稿は、バイオメカニクスとセルアニメーションで見られる歩行および走行という行動の特性を生態心理学の文脈から論じる。人間における歩行と走行については、バイオメカニクスのアプローチとそれらの行動を創りだす方法において次のような特性が見出される。つまりそれらの行動には、周期性、上下運動、1周期中の前後・左右の揺れがある。しかし歩行の場合、両脚支持期はあるが、空中に浮いている時期がなく、走行の場合はその逆になっている。さらに走行は、歩行よりもリズミカルで規則性が強い。バイオメカニクスと、アニメーションにおいて行動を創りだす方法という2つのアプローチは、行動の特性を観察・抽出し、自然事象を記述する同様のプロセスを有する。そこから調査された特性は、人間の知覚によって検出される不変項である。