ポケモン事件の視覚的ストレスに関する認知的要因
1997年10月16日、およそ700人の人々がテレビ・アニメーション『ポケモン』(ポケットモンスター)を視聴中に不快感を訴え病院に搬送された。その多くは小学生の子どもであった。いわゆるポケモンショック事件である。多くの専門家は、5秒間12Hzで継続する赤と青の点滅シーンをその主な原因と看做した。視覚的刺激(つまり点滅)におけるいつくかの物理的な特性が、光過敏性の人々、もしくは視覚的ストレスを受けやすい人々に有害という可能性はよく知られている。しかし我々が思うには、同事件において認知的要因も重大な影響を及ぼしている。それらの要因を調べるため、『ポケモン』から選ばれたシーンによって誘発される視覚的ストレスのマグニチュードを成人の健常者たちに評定させ、なおかつ、ストーリーに関する被験者の知識に変化を添えた。そこから分かったのは、視覚的ストレスの測定値が認知的要因に依存することである。ストーリー未知群の被験者よりもストーリー既知群の被験者の方が、そのシーンの視覚的ストレスの効果を有意義に高く評定した。