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推論アニメーション: 都市部の過去および未来のデジタル予測

この論文では、都市地理学に関する現代の視覚芸術家、建築家、及びデザイナーたちの作品におけるデジタルアニメーションの存在の増加について考察する。ベルナール・スティグレールやマーク・ハンセンなどの現代の理論家は、デジタル・メディア技術が文化的記憶を植民地化し、共同で心に描いた未来へのアクセスを排除してきた方法に焦点を当ててきたが、社会に参画している建築家やアーティストたちは、重要な審美的潜在能力を持つ媒介としてのアニメーションに注目してきた。したがって、デジタルアニメーションは、政治的参画作品の中で、都市部の異なる未来を視覚化し、精神的外傷を残した過去を再編成する主要な方法となったのである。この論文では、過去の2つの事例および未来志向の2つの事例に焦点を当てる。概念芸術家であるスタン・ダグラスは最近、彼の性格とは裏腹に、カナダ国立映画制作庁(NFB)との協力による「Circa 1948」 にデジタルアニメーションおよびゲーム技術を導入した。ダグラスは対話型アプリを使用してバンクーバーの抑圧された過去を再活性化し、現代都市を支配する進歩の物語および土地投機に疑問を投げかけている。エヤル・ワイズマンの作品と法科学的建築プロジェクトでは、デジタルアニメーションの技術を駆使して、人道的危機に関する主要な日付や出来事を再現、視覚化する事例がますます増えている。たとえば、「Rafah: Black Friday」では、デジタルアニメーションおよび 3Dモデルが使用され、2014年のイスラエル軍によるガザ地区への攻撃、特に4日間の激しい砲撃が再現された。芸術家ラリッサ・サンスールは実写とデジタルアニメーションを組み合わせて、説得力あふれる荒涼としたパレスチナの未来を描いた。また、「思索建築家」であるリアム・ヤングはアニメーション技術を使用して、技術的な理想郷と暗黒郷の間でぐらついている都市部の状況を表現した。

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