「アニメーションの手なるものにおける興味深い章」——スタン・ヴァンダービークのアニメーション化された空間の政治学
この論文が肉付けしようと試みるのは、『タイム』誌が1964年にいかにももっともらしく「アニメーションの手なるものにおける興味深い章」と呼んだような達成を、スタン・ヴァンダービークがいかにしてなしえたのかということである。主に焦点をあてるのは、彼のコンピュータ時代以前に制作されたペインティング、人形、コラージュのアニメーション作品である。関連する用語法について考えたのち、著者が探ろうとするのは、スタン・ヴァンダービーク自身の著作を紐解きながら、彼の芸術的・文化的哲学が、いかに、そしてなぜアニメーション技術を通じて表現されえたのかということである。まずはコマ撮りの人形アニメーションとペインティング・アニメーションについて議論するが、その後には、コラージュとフォトモンタージュについてのモダニスト的な文脈を経由し、数多くあるヴァンダービークのコラージュおよび切り絵のアニメーション作品について、彼のビジュアル的な新造語がジェームス・ジョイスの混成語手法といかに比較しうるかという提案を行ないつつ考える。さらには、ファウンド・フッテージというジャンルおよびテクニック内部における彼の実践について美学的および社会政治的に分析しながら、彼が、自作を観る観客に対して立てた戦略を示唆する。結論となるのは、ヴァンダービークの多岐にわたる詩学と美学を、政治的フォトモンタージュおよびインディペンデント・アニメーションの連続体のうちに、「興味深い章」として記述することである。