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ボーダーライン・アニメーション

概念としては「アニメーション」と呼ばれている分野でアーティスト・映像作家として活動しているトルステン・フライシュの作品は、芸術と科学とテクノロジーとが交錯するものである。ジャンルとしては構造的‐物質主義的映画に属する彼の作品は、自然現象の細やかな作用についての高度に自己再帰的な精査でもある。この論文においてフライシュが明らかにするのは、彼の作品に通底するアイデアやコンセプト、そして作品制作時に取り入れるテクニックである。フライシュの実験映画作家としてキャリアはすでに10年以上におよぶ。その多くは「アニメーション」というジャンルの一般的な慣例に収まりつつも、その制作のプロセスとテクニックは、ソースとなる素材、コンセプト、テクニックの普通でない複雑さに反する。これらのプロセスは結果となるイメージにとっても非常に重要である。なぜなら、フライシュはイメージを生み出すため、普通ではないやり方を見出そうと試みるからだ。フライシュの作品で特筆すべきは、有機的な事物(血、肌、灰)や科学的現象(フラクタル、クリスタル、電圧)を美学的にも技術的にも巧みに扱う点である。豊富に図版を用いたこの論文は、以下の作品についてのカラフルなディテールを多く含む:K.I.L.L. -- Kinetic Image Laboratory/Lobotomy (1998), Bloodlust (1998), Silver Screen (2000), Skinflick (2002), Gestalt (2003), Friendly Fire (2003), Kosmos (2004) and Energie! (2007).

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