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消失点――空間コンポジションとヴァーチャル・カメラ

この論文が考察するのは、映画的空間における新たな美的モードである。とりわけ、空間コンポジション、風景描写、そして、特殊かつユニークな関与を伴う見者の没頭のモードを構築するものとしての「ヴァーチャル・カメラ」(実践的・技術的見地からコンピュータ由来の3Dグラフィックス、レイヤーベースのモーショングラフィックス、そして何よりもコンピュータゲームやビデオゲームのアニメーションから派生したもの)に注目していく。ムーヴィングイメージを獲得するための方法としてハイブリッド化および再メディア化されたヴァーチャル・カメラの影響のもと、映画の美学は、フレーム内部におけるコンポジションとカメラのためのステージングという2者独占の状態から、空間コンポジションとカメラのステージングを伴う新たなモードへと移行しつつあることを著者は論ずる。さらには、ヴァーチャル・カメラについて、映画的アニメーションと物語的コンセプトにおける三つの敵対しあう枠組みからも精査する。その三つとは、物語内現実(diegetic)におけるポジショニング、媒介的および非=媒介的関与、物語的・遠近法的状況におけるディエジェーシスとミメーシスである。これらの調査は、映画的メディアの制作のプロセスおよびそれ自身の概念としての集合体においてヴァーチャル・カメラが持つ影響も考察することになる。

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