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高畑勲が『なめとこ山の熊』を映像化していたら──アニミズムの新しい視点から──

本稿は、高畑勲が、映像化したいと考えていた宮沢賢治の童話についてその映像的表現や特色について考察するものである。その際、アニミズム論の新しい視点を導入する。ポストヒューマンが予想される現在、アニミズム論も新たな展開をみせているためである。本章の手順は以下の通りである。
1章では、高畑勲が宮沢賢治作品について映像化したいと述べていた発言を再考し、「非人間」との「共生」「共存」という主題を確認する。2章では、宮沢賢治『雪渡り』と『鹿踊りのはじまり』を取り上げ、後者において視覚表現と聴覚表現が交替で立ち現れる入れ子構造に着目し、重層化される「アニメーション映画」となっている様相を検討する。3章では、アニミズムの新しい観点から、『なめとこ山の熊』を取り上げ、人間と「非人間」(熊)との関係に同質性や魂の分有がある点について考察する。高畑が着目した宮沢賢治の童話は、一見郷土色豊かな土着的な話にみえるものの、〈アニメーション映画〉としてみるとき、その背後にはテクノロジーの眼が摘出されることを指摘したい。

  • タイトル(英語)
What if Isao Takahata had Visualized “The Bears of Mt. Nametoko”?: From a New Perspective on Animism
  • 発表年
2020年
  • 著者
  • 掲載誌
アニメーション研究
  • 掲載誌巻号
21(1)
  • 掲載誌ページ
61-72
  • 掲載誌ウェブページ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjas/21/1/21_61/_article/-char/ja
  • DOI
10.34370/jjas.21.1_61
  • キーワード

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