東映動画撮影部発達史(吉村次郎氏インタビュー)
日動の元スタッフと、東映本社からの編集・印刷・写真関連の人々によって東映動画に撮影部が確立されて以来、そのスタッフの様々な経歴は撮影技術に反映された。同部は最初にアメリカからのマルチプレーン撮影システムを、精機製作所の技術者との協力の上で改良した。さらに、元々の使い方としては想定されていなかったフィルター作業や透過光効果のためにマルチプレーンカメラを利用したのである。特に、『太陽の王子ホルスの大冒険』(1968)の制作の際、様々な特殊効果が試みられた。1960年代頃にはカメラワークのように基本的なスタジオ作業は確立され、その後のスタッフはより一層洗練されたカメラワークと透過光効果などを開発することに集中した。スタイルにおいて厳格な制限を受けないコマーシャルやテレビシリーズを年間200本以上制作することで、新しい技術を試みる機会が与えられた。後にそれらの技術は劇場用長編アニメーション制作の際に用いられ日本アニメーション界の標準として普及した。東映動画は、カメラ/スタジオ技術を開発し普及するだけでなく、アニメーションの現場に優秀なアニメーターたちを供給することによって日本のアニメーション界に大きく貢献したのである。