展覧会「日本アニメの飛朔期を探る」の開催と、初期東映動画に関する今後の研究課題
2001年から2002年まで川崎市市民ミュージアム他各所において、戦後日本アニメーションの復興期である1960年代、東映動画の映画に関する展示が開催された。同展では主に日本初のカラー長編アニメーション『白蛇伝』(1958)の素材が展示された。制作過程の各段階における素材を見せることで日本アニメーションの飛翔期に同映画が誰によってどのような試行錯誤を経ながら生み出されたのかを提示したのである。しかし同展示は次の問題に直面した。つまり静写真で映像を提示することと、戦前のアニメーションや1960年代以降のテレビアニメーションを含む日本アニメーション全史をカバーすることは難しいという問題だった。東映動画の元スタッフや研究者が展示の監修を行ったにもかかわらず、幅広い日本アニメーションの全史を展示することは不可能であった。展示の開催中に催されたシンポジウムにおいて監督、アニメーター、カメラマンらは東映動画が果たした重要な役割を議論し、それは研究者たちに対し日本アニメーション史の研究を促すことになった。