幾何学図形静止画アニメーションによる社会的事象の系統的印象測定
本研究の目的は、被験者が2種類のアニメーションを観た後の印象を測定することである。まずは、互いにチェースする2つの図形のシークエンスで、Heider & Simmel(1944)が記述したものに類似している。次は、2つの図形が横断歩道を渡るシークエンスである。異なるサイズの2つの図形が登場する順序においても操作が行われた。被験者の印象を体系的に測定するために、筆者は先行実験(森・土田・神宮、2000)の自由記述データに2回以上現れた包括的な形容詞と形容動詞を用いた。それぞれのアニメーションを観た後、被験者(130名の学生)は19語の形容詞および形容動詞で印象定評を行った。評定値の因子分析からは、魅了感、知性感、嫌悪感、力量感など4因子が見つかった。それらの因子はアニメーションのストーリーを把握し、図形の諸特性を一つの人格として認知した。分散分析の結果からは、2つの図形の登場の順序とアニメーションの種類との間に有意な交互作用があるということが明らかになった。異なるサイズの2つの図形が登場する順序は、それぞれのアニメーションにおける被験者の印象に異なる影響を及ぼした。