ブレイキング・ザ・スタック:ツールアシストスピードランを通したビデオゲームアニメーションの理解
本稿は、従来のゲームプレイの概念を覆すゲーム手法であるツールアシストスピードラン(TAS)を考察し、ビデオゲームがいかにアニメーション化されるかを考察する。TASとは、ビデオゲームのプレイを人間があらかじめプログラミングしておくことで、操作なしにゲームのエンディングまでを自動的に再生することができるものだ。これにはゲームシステムの内部構造への深い造詣が不可欠であり、効率的な進行のため、しばしばグリッチやエクスプロイトを用いてゲームを破壊することさえある。このような極端なプレイ方法は、ビデオゲーム内でアニメーションがどのように発生するかについてのユニークな洞察をもたらし、視覚やプレイヤーを対象としない様々な方法でゲームがアニメーション化していることを明らかにしている。本稿では、これらのアニメーションを感覚出力、ゲームの状態、コード、マテリアル、オペレーターという5つのモードに分類し、多層的な「アニメーションのレイヤー」として概説する。TASにより、このようなレイヤーが実際には独立したアニメーションの形態であり、個々にアニメーション化されることで相互に影響を与えるとは限らないということが示されている。