歌の映画からテレコミックへ:ヴァリー・ビデオと戦後のアニメーションの新たな市場
1948年から1952年まで、ラジオ、映画、レコード音楽、ショー・エンターテインメントの世界で成功を収めていたパフォーマーのルディ・ヴァリーは、自らの制作会社であるヴァリー・ビデオ(Vallée Video)を立ち上げ、その活動の幅を当時急成長していたアメリカのテレビジョン市場にまで広げた。プログラミングコンテンツの需要の高まりに対応するために当時設立された数百社のうちの一社であるヴァリー・ビデオは、戦後のテレビ制作におけるアニメーション制作従事者の役割を理解するうえで重要なケーススタディである。カリフォルニア州のサウザンドオークス図書館、およびカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)映画テレビアーカイブに保管されているルディ・ヴァリー・ペーパーの記録と映画を分析したところ、短編ミュージカル映画のカメラからアニメーションを使ったコマーシャル、オリジナルのアニメーションシリーズまで、ヴァリーがフリーランスのアーティストおよび外部のアニメーション制作会社に発注していたことが明らかになった。これらの作品から、アニメーションに関係する仕事は劇場映画から規模の小さいスクリーン市場まで柔軟性に富んでいることがわかり、これはのちに20世紀半ばの米国のテレビを独占することになるミニマリストな描画スタイルと限られたキャラクターのアニメーションという、より大きな美的感覚の動きに加わることになるのである。