Netflixオリジナル作品の大人向けアニメーションの位置づけ:『ボージャック・ホースマン』と『ビッグマウス』を通して考察するテイストカルチャーと「視聴価値のある」テレビという遺産
本稿は、マレイケ・ジェナーによるNetflixオリジナルコメディー作品の研究に示される重要な側面についてさらに詳しく言及することを目的としており、ポスト・テレビIIIのシットコム形式で発展している新たな要素が、ストリーミング配信サービスのオリジナル作品である大人向けのアニメーションシリーズに、いかに反映されているかを検討するものである。Netflixオリジナル作品のアニメーション、『ボージャック・ホースマン』(2014年〜)と『ビッグマウス』(2017年〜)をケーススタディとし、複雑なテーマを扱う表向きは「スマート」なアニメーションシリーズが、変わりゆく業界のダイナミクスとテイストカルチャーをどのように示しているかを考察する。『サウスパーク』(コメディー・セントラル、1997年〜)や『ファミリー・ガイ』(Fox、1999年〜)のような過去の大人向けの主要アニメーションシリーズ内にみられる下品なユーモア、ジョークや話題性のあるトピックの風刺、複雑なストーリーテリング、そして本稿で議論される作品が持つ曖昧な特徴などというクオリティを示しながら、テレビ制作における別の関連性とのつながりを検討する。本稿では、こういったつながりを調査してきながら『ボージャック・ホースマン』と『ビッグマウス』の例を用いて、今日のテレビアニメーションシリーズの傾向をみていく。また、これらのアニメーションが持つ特性と視聴者からの反応を、より広範なネットワーク内に位置づけを行う。複雑なストーリーテリングへの転換は、従来のアニメーション制作戦略、変わりゆくテイストカルチャー、そして媒体自体により提供される多面的かつ多様的なポテンシャルに表れていると著者は主張する。